<目次>
(1)温度 (2)器 (3)食前酒、食中酒、食後酒 (4)家庭での保存管理 (5)肴 (6)お酒の呑み方マナー (7)お酒で失敗しない方法
◆日本酒の飲用温度 日本酒センターの資料より
世界中のお酒(特にワインやビール等の醸造酒)の中で、日本酒ほど飲用温度帯の広いお酒は見あたりません。その飲用温度は実に広範囲にわたり、温度が異なるだけで同じ日本酒とは思えない程その表情を変化させます。この飲用温度の広さが日本酒の大きな特徴のひとつと言えるでしょう。 ただ、吟醸酒では冷温から30℃近辺が飲み頃でしょう。
タイプ | 香りの高いタイプ | コクのあるタイプ |
温度帯 | 香りの特徴 | 味わいの特徴 | 香りの特徴 | 味わいの特徴 |
冷温
設定温度 |
メロン、リンゴ、バナナ、洋梨等の甘い果実香とライラック、スミレ、水仙の様な華やかな香りが主体に感じられる。 | 全体的にスムースでバランスの良い口当りが広がる。 余韻は短く滑らかな後 味がある。 |
全体的に香りは控えめ になる。ほんのりと穀物 、樹木、乳性の香りが感 じられ、稲穂、ミルクキャ ンデーの様な香りも感じ られる。 |
第一印象でミネラル味を思わせるフレッシュな酸が甘味を包込み、サラサラとした口当りが広がる。 |
常温
設定温度 |
グレープフルーツ、リンゴ洋梨等の甘酸っぱい香りに緑茶や香草の涼しい香りも感じられる。キンモクセイの様な香りもやや感じられる。 | 第一印象で甘味が滑らかに広がる。全体的にバランス良く味わえるが甘味にまろやかさが出てくる。 | ヨーグルトや生クリーム の様なクリーミーな香り と米の炊き立て香が主 体になる。微妙にバナ ナ、レンゲ、イチジクの様な香りも感じられることがある。 |
甘味と旨味のバランスが全体的に調和し、味わいにコクとふくらみが出てくる。後味の余韻も長く広がる。 |
ぬる燗
設定温度 |
果実や花の香りは少なくなる。代りに栗の花やベビーパウダー、蒸し栗、大豆の様な穀物の甘味を思わせる香りが感じられる。 | 酸味が強く感じられ、甘味が薄くなる。旨味の成分は広がり特徴がでる。後半ドライ感が感じられるが生臭い風味が若干感じられる。 | 木質香やミルクバター、 カッテージチーズの香り が強く広がる。練れたア ルコール臭がふくよかさを醸し出す。 |
全体的に味わいが 調和し、苦味、旨味が 一体となる。コクも充分に広がり、後味の余韻も一番長く広がる。 |
熱燗
設定温度 |
米そのものの香りやソ バ、もしくは麦焼酎を思 わせる様な香りが主体 になる。果実や花の香りはほとんど見られなくなる。アルコール臭が鼻につく。 |
全体のバランスが崩れ味わいが判らなくなる。後味に嫌な苦味が残りアルコール臭が舌を刺す。 | 米そのものの香りやソ バ、もしくは麦焼酎を思 わせる様な香りが主体 になる。果実や花の香り はほとんど見られなくな る。アルコール臭が鼻に つく。 |
甘味が薄くなり、旨味が強調される。コクのある乳酸系の酸が全面に出てくる。後味の苦味を強く感じる。 |
◆飲用温度の表現
日本酒は、時や場所に合わせていろいろな温度で楽しめます。この飲用温度には固有の表現があり、日本人らしい繊細な気配りが感じられます。この表現を次のようにまとめました。
●冷やの表現と温度
雪冷え(ゆきひえ) 5℃ 花冷え(はなひえ) 10℃ 涼冷え(すずひえ) 15℃ ●燗の表現と温度
日向燗(ひなたかん) 30℃近辺 人肌燗(ひとはだかん) 35℃近辺 ぬる燗(ぬるかん) 40℃近辺 上燗 (じょうかん) 45℃近辺 あつ燗(あつかん) 50℃近辺 とびきり燗(とびきりかん) 55℃近辺
私が分けると、この分類の他に、心に響く分け方もあります。それは冷温ではきりっとした引き締った味がしますし、燗をした酒ではそこに心のぬくもりを感じます。料理、季節に合わせて飲み比べてください。
ただ吟醸酒では通常燗はしません。それは香りが熱によって急激に揮発してしまい、アンバランスな吟醸酒となって、味覚を崩してしまいます。また冷やで飲むことを前提にして造られていますので、杜氏さんの意向を汲んで、冷して飲みましょう。ただし冷しすぎないこと。過ぎると香りが立ちません。
吟醸酒は通常燗はしないと言いましたが、中?吟醸酒クラスでは人肌ぐらいに燗をすると、新しい新鮮な顔を見せる物もあります。一度チャレンジしてみて下さい。あくまでもぬるめの燗で。
私は通常(いつも)、常温で飲んでいます。冬には冬の寒さで、夏には夏の暖かさのままで飲んでいます。自然のままの方が素直な吟醸酒の顔が見られるような気がするのです。いえ本当は手間を掛けたくないから(無精なだけ)なのですが、それでも充分吟醸酒を堪能することが出来ます。1升瓶は当然一度に飲み切れませんが、これも当然のように飲みきるまで、常温の元に置いておきます。それで悪くなるような”ヤワ”な酒では吟醸酒失格です。ただ、もろみが入っているものや瓶内発酵の特殊なものは私でも冷蔵庫に入れます。それと、ケチってゆっくり飲む程の吟醸酒もやはり冷蔵庫に入れます。
(2)器
ズバリ、吟醸酒にはクリスタルグラスまたは薄手のガラスで出来た、小ぶりの透明な”ぐい飲みグラス”が一番です。デザイン的には小ぶりのワイングラス(足つきのゴブレットグラス)も女性には好評です。
まず口当りです。唇に当てたときの感触が、繊細でクールで、爽やかなことがその理由です。その2として、持ったときの感触が、冷たさの中に、研ぎ澄まされた中身を引立てるような端正な顔を持っています。その3として、透明感があり、中身の吟醸酒との一体感があり品位を引立てます。そして適度の重量感が有れば最高です。 ただ、色つきの物は、中の吟醸酒の微妙な色つやが判らなくなるので好ましくありません。次には、磁器製の無地薄手の酒器でしょう。しかしこれの良い物はなかなか見つかりません。昔ながらのデザインの物は多く見受けられますが、まだ現代的な吟醸酒用のは無いのかも知れません。
その次には、陶器で出来たもので、俗に瀬戸物の酒器です。私達酒の会では利き酒をしますので、利き酒用のぐい飲みを使用しています。これは白の陶器製で、内側の底にブルーの”蛇の目”(二重丸)が書いてあります。これによって、吟醸酒の色・艶・香り・味を見ます。実は安くて便利で手頃だからで、壊してもそんなに苦になりませんから。
吟醸酒に向く酒器はここまでと思っています。赤い土で焼いた物や、厚手の器や、民芸調の器などは燗酒や普通酒には良いでしょうが、吟醸酒には不向きでしょう。また金属や木製・竹製ではイメージが崩れます。プラスチック・漆塗の臭いのある物・生の竹の輪切の器になると臭いも付いて最悪です。
ほかに”ベク杯”と言って底がとんがっていて、立てることが出来なくて、飲干すまで下に置けない物や、同じように底に穴が開いていて指で穴を押えながら飲み、指を離すと中の酒が流れ出てしまうので、これも飲干すまで下に置けない物が有りますし、”馬上杯”と言って片手で持てる大降りの杯なども有りますが、今流の飲み方からすると、ジョークな道具でしか有りません。
(3)食前酒、食中酒、食後酒
お酒の酒質により飲む時(タイミング)を選ぶと、また一段と美味しく飲めますし、料理も生きてきます。これを間違えると、料理もお酒も台無しになってしまいますが、自然と我々はこれが出来ているように思われます。食前酒とは、料理に箸を付ける前に口を潤し、食欲を増進させる働きをします。
これには、ビール・発泡酒、さらりとした果実酒(梅酒等)、アルコール度数の低いお酒等が良いでしょう。特にビールは我々が通常、乾杯とか、とりあえずとか、最初の一口はまず、とか言いながら口を湿しています。自然とこの条件が満たされているのです。 ・・・で、次は何を飲みますかと言いつつ、食中酒に入っていきます。
食中酒とは、ズバリ料理を引立て、その旨さを引出すお酒で、決して料理の”足を引張る”様なお酒はいけません。此処ではお酒より料理が主人公と思って選びましょう。テーブルワイン、水割ウイスキー、ビール、いろいろな物で割った焼酎、本醸造クラスの日本酒、中華料理には紹興酒等、いつもお世話になっているお酒が登場します。料理も美味しく、お酒も美味しくがもっとうです。晩酌など典型的ですし、外食したときなど、合わせるお酒はこの様に選びましょう。
お酒を主人公にして飲むときは、もう少しレベルの高いお酒と組合わせて楽しみましょう。日本酒で言えば、中吟醸の淡麗でキレの良いのがベストです。ただ、次の食後酒に使う香りの強い大吟醸酒や熟成酒では合いませんし、食事が終るまでもう少し待って下さい。
食後酒とは、食事が終り洋食などではコーヒーが出る頃、此処で頂くお酒が食後酒です。
高品質のブランデー、丁寧に熟成されたピアモルトのウイスキー、日本酒では迷わず大吟醸酒、熟成大吟醸酒、それぞれ品格が高く芳醇で濃厚な味、香りが高く食事の後に飲むことにより、今まで頂いてきた食事と幸福感が一度にこみ上げてきます。そう沢山飲むお酒ではないので、グラスの大きさは言いませんが、せいぜい1・2杯でしょう。このお酒の品位次第で、今日の料理の味わいが大きく左右されるほど大事なものですが、素晴しい食後酒に巡り会えると、最高の幸福感に包まれます。「終りよければ全て良し」。最初に食後酒のような濃厚な酒を飲んでしまうと、食欲どころか、その酒に料理が負けてしまい、酒も料理も台無しになってしまいます。また、食前酒をいつまでも食事中まで飲み続けると料理が間の抜けた感じになります。何よりもバランスが肝心ですが、家庭ではビールや一種類のお酒を最初から最後まで、好きならそれも良いでしょうが、たまには気取って三種類のお酒でメリハリを付けて、食事を楽しんでみるのも一興だと思います。
バランスの問題でも、美味しい料理にはレベルの高い美味しいお酒(日本酒だけでなく)が合いますし、レベルの低い料理にはそれなりにあった酒が合います。それは料理より格段にレベルの高いお酒を合わせると料理が負けてしまい、美味しかったはずの料理でもまずく感じます。 例えば”刺身”の時、格段にレベルの高い吟醸酒などを当てると、よほど新鮮か、良い物でない限り生臭さを感じてしまい、料理の欠点ばかり目立ち旨さを感じません。料理を美味しく頂くためのお酒なのに相手を殺してしまっては意味がありません。普通の寿司屋では普通のお酒が一番合いますし、よほど自信がある寿司屋さんでも大吟醸酒は、食中酒としては当然出しませんし、合いません。
(4)家庭での保存管理
日本酒は、冷蔵庫に保管のこと。西陽や直射日光が直接日本酒に当らないこと。と説明書に書いてありますが、少し説明が不親切です。まず、飲む前(開封前)ですが、冷蔵庫に保管のこと、と言っても、家庭では1升瓶が入るような大きな冷蔵庫は、まあ 無いでしょうし、また奥様に怒られますから。常温で涼しい所に置けば夏でも充分でしょう。生酒でも、火入れ酒でも2〜3週間、1ヶ月位は全然問題有りません。私は今までこれでトラブルを起したことがありません。
過日、友人に差上げるつもりで車のトランクに入れ忘れ、猛暑の中ひと夏過ぎて秋に発見、あわててこの”生”吟醸酒を飲んでみたところ、全く異常が無いどころか丸くなって旨味が増していたのには驚きました。これ程極端なことは別にしても、良く造られた吟醸酒はそんなにヤワな物では無いのです。しかし、造の元から悪いものはこの限りではありませんし、残念ながら冷しても、コケルのはコケルのです。
しかし、私でも温度のところでも書きましたが、720ml瓶入りで、もろみが入っているものや、瓶内発酵の特殊なものは私でも冷蔵庫に入れますし、それを理由に早く飲みきります。次に、飲始めてから(開封後)の保存ですが、720ml瓶でしたら、2、3日で無くなるでしょうから、常温でも、冷蔵庫でもどちらでもかまいません。
1升瓶の時は1〜2週間位常温でも変化はありませんが、心配なら、720mlの良く洗った(洗いが悪いと、ヘンな臭いが付いたり、劣化の原因になります)空瓶1本に移し替えて、それを冷蔵庫に保管します。その時、市販のお酒のように首元に空気を残してはいけません。こぼれるほど口元いっぱいに詰めて、空気を入れないことです。こうすることによって、酸化や雑菌による変質を防ぐことが出来るのです。これは物理的には長持します。が、私の家では無駄な努力に終ってしまうことが普通です。残りの6合分は、今日も飲むのでしょうから、保存だけで見れば、そのままで良いでしょう。
それと、どうしてもケチってゆっくり飲む程の希少な吟醸酒や特殊なものは、やはり冷蔵庫に戻します。冷蔵庫にしまうというのは、家庭では保存の目的より、飲む時の温度管理のための方が大きいでしょう。
それから、西陽や直射日光が直接日本酒に当らないこと。これはそのまま鵜呑みにして下さい。日本酒の瓶に色が付いているのは、二次的にはそれもあるでしょうが、見てくれではなくて、光、特に紫外線を防ぐための”サングラス”なのです。人工的な光も、例えば店の明り、家庭の照明等、皆いけないと言われています。新聞紙で包んだり、紙袋のまま暗いとこに置くのがベターですが、直射日光さえ当てなければ、そう神経質になることはありません。
なにせ1ヶ月以内に普通は飲みきってしまうでしょうから。
(5)肴
食後酒の項でも書きましたが、料理に合わせてお酒を選ぶと、料理もお酒も生きてきます。
吟醸酒に合う肴というと、当然文句なしに全ての和食が合いますが、他にワインで合う料理は大体ピッタリと不思議(当然)に合います。エスカルゴやコロッケ、チーズ、牡蠣料理、ブイヤベース、ジャガイモ料理、肉料理、パスタ料理等、何でも合います。
身近で、簡単に手にはいる物では、特に”味付け海苔”がどんな吟醸酒にも違和感無くピタリと合います。左手でパリパリ食べながら、右手の吟醸酒は誠にサラサラと飲めてしまいます。それに、ワインにフランスパンが合うように、米で造られている吟醸酒は米が当然合います。炊き立てのご飯では色気がありませんが、”焼きおにぎり”はやはり良く合います。そうそう、お煎餅も同じように合います。
日本そば屋では蕎麦に日本酒。鰻屋で白焼きに日本酒。ふぐ料理屋でのひれ酒。焼き鳥、おでん屋さんでの日本酒は最高です。果物ではブドウ、イチゴ、なども違和感無く合います。魚料理、肉料理、季節の野菜類、鍋料理、日本の四季折々の料理、郷土料理、本当に何にでも良く合います。
しかし、今までこれだけはミスマッチだと思われる物に、キムチとこれの入った料理は吟醸酒の味わいを台無しにしてしまいます。 唐辛子やニンニクなど強い香りや味の物は、吟醸酒の微妙な味わいを殺してしまい、合いにくい様です。さかな【肴】とは広辞苑によると、
酒菜=さけのな、転じてサカナの意。 酒を飲む時に添えて食う物。大和「かたい塩肴にして酒を飲ませて」。「酒の肴」。
さかな‐もの【肴物】 酒を飲む時に添えて食う物。
(6)お酒の呑み方マナー
皆さんはいかがですか? 年寄り臭くなるので、細かくは言いませんが、私は、
”楽しく飲めるお酒が一番”だと思います。
気のあった友達(レディが入るとなおよろしい)とワイワイいいながら、楽しい話題で、自分にあった適量で、時間を忘れながら飲むお酒は最高です。当然翌日は二日酔いもなく、すがすがしい顔で仕事が出来れば、また夕方が待ち遠しくなります。
”お酒は飲んでも、お酒に飲まれるな”が身上でしょう。以下は、日本酒造組合中央会の読本から、
一、笑いながら共に楽しく飲もう。
二、自分のペースでゆっくりと。
三、食べながら飲む習慣を。
四、自分の適量にとどめよう。
五、週に二日は休肝日を。
六、人に酒の無理強いをしない。
七、くすりと一緒には飲まない。
八、イッキ飲みはしない、させない。
九、遅くても夜12時で切り上げよう。
十、肝臓などの定期検診を。書いていて、私個人として、キツイ項目があるのに、困っています。(^_^;)
皆さんはいかがですか?
友達や同僚と楽しくくつろげるお酒の席。しかし、中にはつい飲み過ぎて体調を崩したり、酔って失敗をした経験がある人もいるのではないだろうか。そこで、寄せられた質問にお答えしながら「お酒で失敗しないとされる方法」を紹介していこう。
質問@「お酒を飲んだ時、記憶をなくさない方法を教えて下さい」
飲みすぎた次の日、昨晩の記憶が全くない。そんな経験をしたことはないだろうか?星薬科大学の阿部博士によれば、人間の記憶には、ついさっき体験したことの記憶である「短期記憶」と、長期間にわたって覚えておくことのできる「長期記憶」があり、お酒には、「短期記憶」が「長期記憶」になることを妨害する作用があるという。阿部博士によれば、アルコールが脳内に入ると、脳の中の海馬で、記憶の伝達を行うグルタミン酸を受け取る「NMDAレセプター」の働きが阻害され、長期記憶が作られにくくなるというのだ。そのため、重要な出来事でも翌日覚えていないという人は、NMDAレセプターがアルコールの影響を受けているといえるのである。
では、お酒を飲んだ時記憶をなくさないためにはどうすれば良いのか?東京大学の斉藤名誉教授によれば、飲酒前にサフランに含まれるクロシンという成分を摂取しておくと、飲んでも記憶を失いにくくなるという。酔って記憶をなくしたくない場合は、お酒を飲むときの最低2、3時間前にサフランを直接食べるか、サフランが使われているパエリアやブイヤベースなどを食べておくと効果的であると考えられる。
質問A「酒癖が悪く感情的になってしまう自分を抑える方法を教えて下さい」
血中アルコール濃度が0.1%を超えると、神経細胞の働きが抑制され、理性を司る大脳新皮質が麻痺してしまうという。すると、抑えきれなくなった本能的欲求や感情が表に出てきてしまうことがある。倉敷芸術科学大学の須見教授によれば、感情的にならないために血中アルコール濃度を高めない3つの飲酒法を行えば良いという。
方法@「お酒をゆっくり飲む」
お酒をひと息に飲むと、肝臓のアルコール処理が間に合わなくなり、処理しきれなかったアルコールが血中に溶け込み、脳に回ってしまう。そのため、お酒はゆっくり飲むのが良いと考えられる。
方法A「たんぱく質や脂肪を含むつまみを摂る」
たんぱく質や脂肪を含むつまみを食べながら飲むと、それらを消化するために、アルコールの吸収自体も遅くなり、血中アルコール濃度の上昇を抑えることができる。また、飲酒の直前に胃に食べ物を入れておくこともすすめられる。
方法B「ソフトドリンクなどを飲み、尿をたくさん出す」
飲酒時の排尿には、血中濃度の1.2倍ものアルコールが含まれており、尿をたくさん出せば、それだけ血中アルコール濃度を下げることができると考えられる。
質問B「いろんな種類のお酒を一緒に飲む、つまり"ちゃんぽんする"と酔いが早いって本当ですか?」
久里浜病院の樋口医師によれば、"ちゃんぽん"により、どんなお酒が体の中で混ざってもアルコールであることに変わりはなく、相互作用はないという。大切なのは、自分が今どれくらいアルコールを摂取しているか把握することである。例えば、ビール大ビン一本のアルコール量は、日本酒一合。サワーならおよそ二杯、ウィスキーならダブル一杯、ワインなら二杯程度である。
質問C 「私は他のお酒を飲んでも大丈夫なのですが、ワインを飲むと必ず頭が痛くなります。人によって合うお酒、合わないお酒ってあるのでしょうか?」
須見教授によれば、ワインに限り頭痛を引き起こす2つの成分が含まれているという。
頭痛を引き起こす成分@「亜硫酸」
ワインに含まれる酸化防止剤の亜硫酸は、摂り過ぎると肝臓に負担をかける。すると、元々肝機能の弱い人や、すでに飲み過ぎている人などは、血中アルコール濃度が高まってしまい酔いやすくなってしまう。だが、亜硫酸は酸素と結びつくと分解されるので、デキャンタージュやワイングラスを回すことである程度取り除ける。
頭痛を引き起こす成分A「チラミン」
チラミンとは、赤ぶどうの皮に含まれるアミノ酸が発酵した時に生成される成分で、血管を収縮させる作用がある。こめかみや脳の血管は、収縮後、元に戻ろうとして拡張するため、その際に周囲にある三叉神経が刺激され、頭痛を引き起こすのだ。チラミンは、ワインだけでなくチーズにも含まれる。また、チョコレートにも血管を収縮させるカフェインが含まれているので、これらの摂り過ぎには注意する。
質問D「私は日によってお酒に酔いやすい時があります。体調や気分に関係なく酔いやすい時ってあるのですか?」
女性の場合、生理前はアルコールの分解を抑えるエストロゲンというホルモンが分泌されるため、酔いやすくなるという。そのため、女性は生理前にはお酒は慎重に飲んだほうが良いと考えられる。また、飲酒時に一緒に摂る食事やつまみが酔いに影響する事もあるという。シジミ・ホタテ・キムチ・ウニ・お酢・牛肉などに含まれている「アラニン」、また、ネギやニンニクなどに含まれる「アリシン」を摂取することで、肝臓のアルコール分解を効率的にし、ある程度、酔いを抑えることができる。TV特命リサーチ報告 「お酒で失敗しない方法を教えて下さい! 」 2003/01/19 報告より